Young days

『どこ行ったんだろ?衣千華何か聞いてるナルに?』


伊織の問いに答えられない衣千華は"さぁ〜?"と笑って誤魔化した。



衣千華はスマホを確認したが、七琉美からのメッセージは何も届いて無かった。



七琉美は1人東屋へ向かった。


あの日、衣千華が泣いて抱きしめた位置に立つと全身で感じた衣千華の震えが思い出された。ベンチに座りスマホの待ち受けを眺める七琉美。どうしても拭い去れない想いが胸を締め付けていた。優月の言葉、表情、全てが頭の中を駆け巡らせた。喉の渇きを感じる間も無かった。


七琉美が小3の時だ…。運動会の練習で転んだ伊織が泣きながら保健室に連れてかれると、流唯が猫じゃらしを持って保健室へと向かった。"おみまい"そう言って流唯が猫じゃらしを渡すと、伊織は泣き止んだ。七琉美は持っていたハンカチをそっと体操ズボンのポケットにしまった。いつから伊織を想っていたのかは自分でも分からない七琉美。それでも、その時の記憶だけは今も鮮明に覚えていた。そんな記憶にフッと笑みが溢れる自分を情け無い程恨んだ。



"なんで…どうして…"



自然と溢れ出る涙。
七琉美は、自分がしてしまった衣千華への酷過ぎる過ちを悔いた。



『…結局俺ッ…傷付けてばっか…ッ…。』



目を真っ赤にして泣いた。周りを気にせず泣いた。これで、自分の気持ちに嘘は付けないのだと分かった七琉美は衣千華との別れを決断した。それは、自分がもうあの5人とは一緒には居られなくなる…それぐらいの罰を受けても仕方の無い事だと覚悟の上の決断だった。