Young days

2人は帰宅しようと、店を出た。通りまで出ると、秀晴は突然足を止めた。


『悪いッ。俺、店に忘れ物したかも…。』


『えっ!?何忘れたのぉ!?財布?』


『あっ…ん〜…。お前ッ、こっから歩け!』


『はっ!?』


『俺こっから、お前が家に入るまで見ててやっから、先帰れ。』


『いぃよ〜。ここまで来たら1人で帰れる。』


『んな訳には行かねぇんだって。お前が家入るまで確認しねぇ〜と、俺的に無理。』


『子供じゃないんだから…。わかった。じゃあ、行くね?』


『おぅ。コケんなよ〜?コケたら、通り沿いの家全部の電気が灯るくらい大笑いしてやっからなッ!』


『やめてよ〜。そんなドシしなぁ〜い。特にヒデオジの前ではッ!』


そう言って莉乃は家へ向かって歩き出した。それをずっと目で追う秀晴は、家の前まで着いて手を振る莉乃に大きく両手を振った。


莉乃が家に入るのを確認すると、秀晴はolu'oluへと引き返した。


鍵を開け中に入ると、ロックグラスに氷を入れウイスキーを注いだ。


海に向かい椅子を置くと、スマホからあの曲を流し始めた。


波の音と、because of you…。


手にしたグラスを口元へ運び一口飲むと、そのグラスを砂の上に置いた。



『………会いてぇ〜な……。』


そう言って閉じた目を両手で塞ぎのけぞった。手を外し目を開けた秀晴の視界に光り輝く星空が広がった。



『……会いたい……。』



秀晴は初恋の人が昔教えてくれた、夏の大三角形の話を思い出していた。


"ベガとアルタイルは織姫と彦星なのよ"


"じゃあ、仲間外れの星は?"


"デネブ"


"じゃあ…俺はデネブだな"


"どうして?"


"織姫と彦星にはなれないから…"


"でも、デネブは必要な星なのよ"


"…デネブがいないと三角形じゃなくなる…とか?"


"それもそうだけど…デネブはね、天の川なの…だから、デネブがいないとベガとアルタイルはとても困る…仲間外れなんかじゃない…むしろ必要とされる星なのよ"





初恋の相手はもしかしたら、秀晴の気持ちに気付いていたのかも知れない…。