Young days

その夜、BARの客全員にシャンパンを奢ってしまう程ご機嫌な秀晴。莉乃は呆れたが、酔う程に嬉しそうな秀晴を見ている事が心地良かった。客が帰ると莉乃は秀晴に水を1杯渡した。


『嬉しいのは分かるけど、飲み過ぎッ!』


『いぃじゃねぇ〜か、たまにはよッ!』


『そんなに嬉しかったの?』


『当たり前だろッ!?お前は嬉しく無いのかいッ?可愛い弟が恋を実らせた事。』


『嬉しいよ。嬉しいに決まってる。まぁ、初恋は叶わなかったかもしれないけど…痛みを知ったから、ナルは強くなった。でも、ちょっと急展開過ぎてまだ追っ付けてない自分も居るんだけどね。』


莉乃は困った様に笑った。


『あぁ…アイツ、ナル…よく笑うようになった…。』


『……うん。パパともね、時々…話すようになってきてる。』


『ゆっくりでいぃ…そう思ってたけどな。』


『…ん?』


『大人の階段だよ。ゆっくり、少しずつ上り始めたと思ったら…なんだか急に駆け上がるように行っちまいそうで…ちょっと寂しい…とかなッ。思っちゃう自分も居る訳よ。』


秀晴は優しい笑みで話した。



『ヒデオジ、酔ってんね。』



『酔ってるよ!そりゃ酔ってますよ〜!嬉しいの半分。寂しいの半分。飲むっきゃないでしょ〜!』



『ヒデオジ、娘を嫁に出す父親みたい。』



『あぁ…そうかぁ…。そうかもなぁ…。』



『えっ?』



『俺にしてみりゃ、もちろんお前もそうだけど…アイツら全員自分の子供だと思ってっとこあんだよな〜。兄貴って言いたいとこだけど、どいつもこいつも世話が焼けて、めんどくせぇ〜けど放っとけなくて…いつだって笑ってて欲しい。それはもう完全なる親目線だッ。いつかは、離れてくって分かってんのに…"寂しい"がフライングしてくる…。』



『…いぃ父ちゃん持って幸せだよ。私もッ、あの子らもッ!』


『え、やめて?泣いちゃう!歳だからぁ〜!色々緩んでっからぁ〜!』


『やめてよ〜ッ!』


2人は笑い合った。