Young days

昨夜、ほとんど眠れなかった伊織は目まぐるしく過ぎて行った誕生日がとても長く感じていた。


『……あと3時間……。』


日付けをまたげば、このモヤモヤが消え去るような、そうであって欲しいと願うかのような…そんな独り言。



"カツンッ…"



窓の外で何かが聞こえた気がした。



どこかで聞き覚えのある様な、懐かしい音。



"カツンッ…"



まただ。
伊織はハッと立ち上がりカーテンを開いた。


窓の向こうで縄跳びの先端を投げようとしている流唯。伊織は窓を開けた。



『……何してんの?』


『………よっ!』


流唯は縄跳びを手に巻き付けながら笑った。


『懐かしいだろ?コレッ。』


『…なんで縄跳びなんか。』


『俺のスマホ死んでて…。雨で…ハハッ。そしたらさぁ、昔思い出して。よくコレ使って縄跳びノックしてたなって…。』


『………スマホ、私のせいだよね。』


『ってか!雨…上がったな。』


流唯はすかさず話を変えた。


『……スマホ…ごめ…』


『お前さぁ…お前…どこで?』


『…何が?』


『…だから、どこで…キス、したんだよ。』


伊織は一瞬流唯から目を逸らした。


『………言いたくなぃ。』


『………じゃあ…何秒?』


『………数えてないよ…。』


『そんな長かったのかッ!?』


『そっ、そうじゃなくて…。声デカイから…。』


伊織は人差し指を口元に当てた。


『あっ…ごめん。』


『…一瞬だよ。一瞬。パッて…。』


『…一瞬…パッて……。』


『それ聞きたかったの?』


『……まぁ…確認…?』


『…確…認……。それだけなら閉めるね。雨上がりで蒸し暑いし…エアコンの風逃げちゃう。』


『………どんなだった…?』


『………え?』


『ドキドキすんの?相手がナルでも…お前、ドキドキしたの?』


あまりにも真剣に聞く流唯に伊織は言葉に詰まった。