最後にもう一通お礼の返信をして山内さんとのメッセージを終えたタイミングでトントンとノックが聞こえたので、「はーい!」とだけ答えた。

「真琴?寝てなかったのか。
 お粥出来たから持ってきた。
 起き上がれるか?」

彼は部屋に入るとローテーブルにお盆を置くと起き上がるのを手伝ってくれる。
余りにも丁寧に甲斐甲斐しく看病をされると私が悪いみたいに思えてきた。
心のどこかから「素直にならなきゃ、嫌われるぞ」って聞こえてきた気もする。

「玲くん、ありがとう。いただきます。」
熱すぎず冷たすぎず、ちょうどいい温かさのお粥に弱りきった心は悲鳴を上げる。

「週末、体調が回復したら出掛けよう。
 まずはこの辺りの散策。
 そのつぎに俺が真琴を連れて行きたい場所に連れて行く。」

「うん。
 頑張って治さなきゃ。」

「お粥を作る前に近所の薬局で薬を貰って来たから、食べ終わったら飲んで寝ること。」

複雑な気持ち。
そういえば、お粥を作りに行ってから寝室へ来るまで時間がかかっていたかも知れない。
まさか、薬局にお薬を貰いに行っていたとは露知らず。

「おいし。玲くん、ありがとう。」
まるで拾われてきた子猫の状態で肩身が狭い。
玲くんの部屋から突然出て行った事を反省しないといけない空気感に罪悪感を感じる。

「真琴?一人で食べられないなら手伝うぞ?」

「なっ!?ゴホッ」
玲くんが変なことを言うものだから噎せてしまった。
噎せた私に驚いて背中を擦ってくれる…
暖かい大きな手の持ち主の…
どこまでも優しい彼に…
恋に落ちる。。。のを実感した。。。
瞬間。。。