ひと悶着はあったが、スマホを無事に返して貰えたのでベッドってゴロゴロしながら漫画や小説を読んで玲くんを待つことにした。

とはいえ、先ほどまでの出来事が頭から離れず全く集中できないので三昧とはいかず。
突然、抱き締められて心臓が未だにドキドキしっぱなし。

画面をスクロールして次へ進んでも頭に入ってこないから物語に付いていけない。

「はあ~もう、だめ。集中できないや。」

スマホを放り投げゴロンと寝返りをする。
熱を出したら色んな事が起きた。
たくさん"熱のせい"にしてしまったけど、本当だったら"熱のおかげ"なのに。

「はあ~参ったなあ~
 続きが気になって新刊までの一日一日が長く感じたあの日に戻りたい。」

そんな呑気な日々がもう二度と戻ってくることはないかも知れないと思えと鳥肌が立った。
別の事を考えようと思ったところでダイジェストな事を思い出した。

「あ!山内さん、大丈夫だったかな?」

スマホのアプリを起動して山内さんにお礼のメッセージとお詫びのメッセージを送信する。
(玲くんが変なことを言ってないといいけど。)

『体調はいかがですか?
 僕の方は問題ありませんから気にしないで下さい。
 お大事に。』
直ぐに返信が届き確認すると…玲くんは失礼な事をしてなかったと…思う内容でほっとする。
職場でお会いしたら再度お礼を伝えよう。