気が付いたらインターフォンから何も聞こえなくなった。
どうやら、彼女は諦めて帰ってくれたようでほっとした。
ここ最近の出来事は全て可笑しいと思った。
何か仕組まれいるのか未だに分からないけど、玲くん程の男性がほっとかれる訳がない。

「あのひと、誰だろ?
 このマンションって最近引っ越ししたって玲くん言ってたよね。
 それを知ってるって事は深い仲なんじゃないのかな?
 あのひとからしたら、私(真琴)の方こそ誰よ?って話か。。。
 風邪も治ったし漫喫でも行こっ。」

この部屋には居たくなくて、急いで着替えて鞄を手に取り部屋を出る。
書き置きなんてしないで。
やっぱり私みたいな庶民よりさっきの美人の方が此処の部屋はお似合いだよ。
部屋だけでなく、玲くんの隣にいるのだって。。。

外へ出ると自然と涙が出てきたけど、今だけそれを許した。
どんな状況でも鉢合わせは辛い。
あのひとも、きっと傷付いただろう。

「あ~あ、再会なんてしなきゃよかった。
 とりあえず…漫喫でネットゲームと漫画三昧で明日はどうしよう。」

いきなり飛び出して来たので着替えを忘れた。
今は仕方ない。
考える余裕なんてあるわけないのだから。
スマホで近所の漫画喫茶を検索して行く宛の目星を付ける。
マップを見てると玲くんからの着信とメッセージが入るが無視を決める。
(今はむり。鋼のハートではないので。)

「ばいばい。」