ベッドでスマホの漫画を読み漁っていると、何でもそつなくこなす玲くんがお粥を作って運んできてくれたので食した。完璧だった。
塩加減もだし、少し醤油が入ってる感じも。更には卵の柔さも。
逆の立場ならあわあわするだけで何も出来ないなと思い、元気になったら少しずつ料理の勉強をしようと思った…ら眠りについてしまった。




ピンポーン~ピンポーン~
「ん?だあれ?」
ぐっすり眠り少し身体が楽になったのでベッドを出てリビングへ向かう。

ピンポーン~ピンポーン~
「玲くん~いないの~?」
リビングのドアを開けると玲くんは居なかった。
もしかしたら、夕食の材料でも買いに出掛けたのかも知れない。
ダイニングテーブルの上には一枚の紙が置いてあった。
[真琴へ
夕食の材料を買いに行って来る。
冷蔵庫にみかんゼリーがあるから食べられるなら食べて、ベッドで休んでいること。
帰ったら病院に連れて行く。     玲]

ピンポーン~ピンポーン~
風邪気味だけど玲くんは外出中なのとなりやまないので自分が対応をする。

「…はい。」がらがら声に笑いそうになった。
でも、直ぐにその笑顔は消えた。
画面に映る美しい女性にお驚きが隠せなかったから。
『玲!!なにしてんのよ!!
 何ですぐに出ないのよ!!
 早く出なさいよね!!
 ちょっと!玲!?聞いてるの!?
 もう、良いから早くオートロック開けて!』

・・・。
誰?私は知らない女性の声。
途端に涙が溢れて床に崩れるように座り込む。
『え?誰よ?そこにいるのは玲じゃないの?
 玲はいないの?
 もしかして、あ………』

耳を塞ぎ聞こえない様にした。
腰が抜けて立ち上がれないのでインターフォンも応答にしたままだ。
きっと、インターフォン越しに私の泣き声が聞こえてしまったに違いない。
両手を両耳にそれぞれ当ててお山座りで膝に顔を埋める。
(こわい。早く帰って。)