お休みのキスをして真琴が眠ったところで、協力者の一人に報告がてら電話をする。


『はあ~い、もしもし?』

「もしもし。いつもお世話になってます。
 玲です。
 真琴の引っ越しが無事に滞りなく終わりました。」

『あら!玲くん~
 真琴ったら、迷惑ばかりかけてないかしら?
 あの子ったら家で全然お手伝いも何もしなかったから、何も出来なくてびっくりしたんじゃない?
 それにしても玲くんから真琴が副業の話を聞いたときは驚いたわ。
 本当にごめんなさいね。』

「いえいえ。毎日、楽しくやってます。
 僕も引っ越したばかりで家電も一新したので二人で悪戦苦闘しながらやるのも良いものです。
 その副業があっての今の僕たちがあるみたいなものですから。」

真琴が俺たちに内緒で副業をしているのを知り、彼女の事が心配だからそろそろ一緒に暮らしたい事を打診したのは、俺だ。
一緒に暮らせば真琴の方の家賃や生活費の諸々は浮くのだから副業をせずに済むのと、年齢的にも色々と考えがある事、その方が真琴のご両親としては安心だろうと言うと話し合い難なく同棲へ持ち込んだ訳だ。

『本当に玲くんって優しいわね~
 真琴が羨ましいわっ。
 あっ!
 そうそう!
 玲くんがこの前、話していた結婚式場だけど見学に行ってみたけど素敵なところね!
 真琴も気に入ると思うわよ。』

「早速、見学に行ってくれたのですか?
 嬉しいです。
 お義母さんとお義父さんが承諾して頂けたらあの式場で話を進めます。」

『うん!良いと思うわ~~』

「ありがとうございます。」




外堀は少しずつ埋めていく。


「だから、偶然の再会なんてないんだよ。」