コトン。
どうやら、隣の席に誰かが来たらしい。
こんな時間に知り合いになんて会う事ないから安心しきってもりもり食べてる私。
大盛はうどんが三玉で300円って凄くない?とテンションが上がる。

「やっぱり。」

・・・?ん?何が?やっぱり?
心の声が出ちゃったかな?と少し恥ずかしくなる。
この時間だし、お仕事にお疲れだから何となく独り言が出ちゃうよね。と呑気な私に意外な言葉が聞こえてくる。

「真琴(まこと)。
 こんな時間に何やってるんだよ。」

・・・?
え?
自分の名前に反射的に顔を上げて隣のお客さんを見てしまいそうになるのをどうにかストップをかける。
確認だけど…私の名前は水谷 真琴(みずたに まこと)である。
確かに今、お隣の席の方から『まこと』と聞こえた。
恐る恐る…どちら様?と言う風に顔を向けてみる……。

「!?げっ」

「何が、"げっ"だよ!
 こんな時間に何やってるんだよ?
 会社がこの時間まで掛かったのか?
 それにしても、遅いよな?
 こんな時間に女が一人うろうろしてたら危ないだろ?」

余りのショックの大きさに目も大きく見開き、箸を落としそうになった。
はあ、めんどくさい人に見つかってしまった。