真琴がアルバイト終わりに近所のうどん屋で食事を済ます事をリサーチしてあったので、アルバイトの日に彼女の後を追う。
店の外から慣れた手つきでタッチパネルを操作し、店員にチケットを渡すと天ぷらを選び座席へ座るまでを見守った。
店へ入り、真琴の隣をキープする為に適当にメニューを決め彼女の元へと足を運ぶ。


「はあ、やっぱり。」

全く、呑気に何やってるんだか。
ここまで警戒心が無いと本当に心配になる。
そして、全く気が付かない真琴にイライラする。

「真琴!
 こんな時間に何やってるんだよ。」

「!?げっ」

うわあ~最悪と顔に書いてあるが?

「何が、"げっ"だよ!
 こんな時間に何やってるんだよ?
 会社がこの時間まで掛かったのか?
 それとも、残業?
 それにしても、遅いよな?
 こんな時間に女が一人うろうろしてたら危ないだろ?」

嫌そうな表情で目を大きく見開き、箸を落としそうになり、直ぐに目をそらし、うどんを食べるのを再開する。

「真琴?
 質問に答えて。
 疲れてるの分かるけど、ちゃんと説明してくれないと納得できない。」

「たくさん聞かれると混乱しちゃうの。
 一つずつにしてよ。」

相変わらず、甘え上手の真琴が可愛くてつい許してしまいそうになる。


「何でこんな時間に此処にいる?」

また、目をそらす。
秘密があるって大変だな。とからかいたくなるが真琴の返事を待つ。

「ちょっとした用事を済ませてたら、この時間になっちゃったの。」

『ちょっとした用事』ね。

「真琴の職場は副業禁止だよな?」 

「ん??」

「副業だよ!
 確か、禁止だったよな?」

「へえ?ふくぎょう??」

そう。副業。
知らない振りをしても構わない。