背中の擽ったさに気付き目を開ける。
ああ、そうだった。
玲くんとの最中に草臥れて寝てしまったのだと思い出す。
初めての人を相手に彼は容赦なくて意識を失ってしまった。

そして、背中の擽ったさの原因はもちろん、玲くんしかいない。
我慢が出来なくなり、彼に抗議をする。

「ひゃあ!玲くん!擽ったいよ!
 なにしてるの?」

「ん?ごめん。真琴、目を覚ましたか。
 真琴の背中にキスとキスマークを付けてた。」

全く悪びれた様子のない彼の返答に拍子抜けしてしまう。

「え?」
寝てるところを襲うなんて!ともう一度抗議をしようとくるんと身体を回して玲くんの方を向く。
その時に下腹部から何かが出た気がしたがスルーした。

「せっかく、真琴の背中に俺のマーク付けてたのに。残念。」

今度は反省の色がゼロの玲くんにあきれる。
以前、彼の寝ているのを邪魔した時は逆の立場だったのに。とあの日の出来事を思い出す。

「玲くん!酷いよ!寝てるところを襲うなんて!」

「襲ってない。
 これも一種の愛情表現だ。
 そんなことより真琴の身体は大丈夫か?
 結構、無理をさせた。」

「ん?…だ、大丈夫…だと…思うよ。」

先ほどまでの獣の玲くんとは違い、いつもの優しい玲くんに突然戻り意表をつく。