真琴の実家からマンションへ帰宅中、真琴が寝てしまったのでパーキングエリアで休憩がてら連絡をする。

『もしもし?玲?
 全然、連絡くれないんだから酷い!!』

「ああ。ごめん。
 真琴に引っ越しが無事に終わった後も色々あったんだよ。
 真琴とは上手くいきそうだ。」

『本当に~~~
 玲ったら、時間かけすぎだから!』

「とりあえず、棗(なつめ)が用意してくれた部屋着とか化粧品とか真琴が喜んでたよ。
 サンキューな。」

電話の相手は大学時代だからの付き合いの落合 棗(おちあい なつめ)。
普段は男だが休日は女の格好をしているので女性だと間違われるのも仕方のない事だ。

『真琴ちゃんが喜んでくれると思って頑張って見繕った甲斐があったわ。
 本当だったら一緒にショッピングしたかったのに、二人だと時間が掛かるから一人で行けなんて。
 あ!でも、あのあと大丈夫だった?』

「まあ、大変だったけど何とか取り返した。
 連れ去られてたらお前にどう責任取って貰おうかと思ったがな。
 全く、女装で家に来るの禁止な。
 真琴が勘違いして間違いを起こされたら、たまったもんじゃない。」

『やっぱり。真琴ちゃんに悪いことしちゃってたんじゃん。
 今度、会わせてよ!!全然に!!』

「真琴は人見知りだから無理。」

『ケチ!!
 真琴ちゃんに会うかどうか聞いてくれたっていいじゃん!!』

「真琴に無理強いをしたくないんだよ。
 特に今は大事なときだから。
 とりあえず、サンキューな。」



まあ、いつか会わせてやるよ。