時差ボケなんてしている場合ではない俺は、栄養ドリンク剤の助けを借りて真琴の住む場所へと足を運ぶ。
まるで迷子の子どもを探す父親のような、何処に居るんだと探すように彼女のアパートへ向かう。

「送ってくださって、ありがとうございました。
 山内さんも気を付けて帰って下さい。」

「あっううん。
 みっ水谷さんっそのっ、もし良かったら僕とお付き合いして、くれませんか?」

「えっ」

まさに最悪な再会の光景。
なんで俺より先に告白なんかするのかな。
いや、告白させる隙を作らせている俺のせいか。

「真琴!!こんな時間に何ほっつき歩いてるんだよ!」

「えっ!玲くん?」

相手の男性に真琴とは深い関係性だと匂わせるように腕を掴み、俺の胸にしまい込む。

(このまま、アメリカへ連れて行ってしまおうか?)

「こんな時間に一人でほっつき歩いてるなんて、真琴のお義父さんとお義母さんが知ったらどうなると思ってるんだよ!」

そう言って、男性の方を軽く睨むように目を向けると、相手は目をそらし、苦い物でも飲んだような顔をしかめる。
「あっの、すみません。」

「山内さん、ごめんなさい。」

「いやっ、良いんだよ。
 それじゃ、お疲れさまでした。」

はあ~と大きくため息を吐く。
アメリカに滞在するのは残り半年。
長く感じるが真琴との将来を考えると大事な期間。

「真琴。今日の事はおじさんとおばさんには言わないけど、夜道は危ないからもう止めろよ。」

「分かったよ!」

弟の千景にはご所望の高級ワインを二本、奢り真琴の監視は継続をお願いした。