心理作戦といこうか。

たった二人しか乗っていないこのエレベーターが凄く広く感じるのは、普段使っているエレベーターのクオリティと全く違うからか。
ボタンの数字がなんか変。
1の次が36って何で?と思うのは世間知らずだからではないだろう。
高級なマンションというのはこんな所まで凝ってるのか。と思うのは階数表示がまずはモニターになっているし天気予報とか最新のニュースを知らせてくれている。

(確かに行きたい階まで時間がかかるから暇だよね。。。)

それにしても、掴まれている腕から伝わる温もりに緊張が走る。
このもどかしい気持ちを忘れたく思い、エレベーターから見える夜景に目を向ける。
(うっわあ~)

「真琴?
 道に迷った?」

「え?」

「地下鉄の駅から此処までだよ?
 道に迷った?」

「ううん。
 アプリを見ながら来たし…駅から凄く近いから迷ってはないよ。
 なんで?」 

「俺の予想した時間より遅かったから。」

なるほど。
彼は昔から頭が冴えるから、私の職場からこのマンションのまでの推定予測時間を出したのか。
さすがだなと感心してしまう。

「女性は着替えながら少しお喋りしちゃう生き物なの。」

着替えはしてないが、帰りの挨拶に少し話す事はあるから、嘘ではない。
それに残業だってある日もあるわけだし。