〜瑛多〜
日葵に指輪を渡してから1週間後の日。

学校に到着して玄関にいた日葵に声を掛けたけど何となく日葵の様子がおかしかった。あいつは『なんでもない』って言ったけど何か嫌な予感がした。

その日の放課後忘れ物に気づいて教室に取りに帰ると教室の中から誰かの声がした。俺は探偵のように扉の隙間から教室の中を覗いた。

教室にいたのは日葵だってすぐに分かった。あの席はあいつの席だったから。もう1人は男だった。そう分かった瞬間俺の中で怒りと悔しさが込み上げた。

『藤井のことが好きなんだけど。』

そう男が言った瞬間怒りが強まった。男が告白したからっていうのもあったけどその男が翔琉だったから。

翔琉とは昔からの知り合いでテニスのペアでもあった。奴に好きな人がいるのは知ってたけど日葵だとは思わなかった。奴は俺が日葵を好きなのを知ってるから。日葵じゃないって思ってた。なんか裏切られた感じがしたけどそれ以上に『あいつなんかにやらない』そう誓った。

もう遠慮はしない。

あんな奴に負けてたまるか。

あいつは日葵のことを下の名前で呼んだ。

『覚悟しといて。』 そう言った。

何が覚悟しとけだ。
お前、翔琉がな。

幸いにも日葵はOKしなかったから良かった。

俺にもチャンスがある。


これが男同士の負けられない戦いの開幕だった。