君と見たい世界








学校から帰ると柊から電話が来た





「もしもし、柊?」


「流花、ごめん…」





電話口の柊の声はいつもよりも沈んでいた





「どうしたの?」


「入院することになった…ごめん」


「えっ、いつから?」


「明日から」


「そうなんだ…」





分かっていた


こんなことになる


こんな日が来るって分かってたはずなのに






「ほんとにごめん…」


「ううん、毎日お見舞い行くから。ほら、食べたいものとかあったら言ってよ」


「うん、ありがとう…じゃ、それだけだから」


「うん、体調気をつけてね」





電話が切れた後


しばらくぼーっとしていた





急に現実を突きつけられた気がして


一番辛いのは柊なのに


私がこんなへこんでどうするの…







入院って相当悪いのかな


嫌だよ、柊…


私、まだお別れしたくないよ


ずっと柊と一緒にいたい






次の日、約束した通りお見舞いに行った





ベッドの上にいた柊は私に気づいて


「ありがとう」と言って微笑んだ





あまり変わってない気もするけど


よく見たら前より線が細くなった感じがする





「はい、これ。駅の近くのケーキ屋さんで買ってきた」


「うまそっ。ありがとう」


「こっち私の分だから」


「それって流花が食べたいから買っただけじゃない?」


「あれ、バレた?」





「やっぱりな〜」なんて言って笑ってる柊を見て少し安心した