「何、どうしたの?夏休みにまで呼び出して」
澪に花火大会の話を聞いてもらうために呼び出した
「花火見て帰ろうってなった時に立ち上がろうとしたらよろけちゃって、柊に抱きしめられてるみたいになっちゃったのね」
「それで?」
「ごめんって離れようとしたら、ぎゅってされてキスされた…」
「えっ!?」
私の話を聞いた澪は
驚いた顔をして「それから?」と
続きを聞いてきた
「私も何かあるのかなって思ったんだけどね、ごめんって言われて…」
「えっ、それだけ?」
「そう、それで帰った」
「そっか…」
なんで抱きしめたのか
なんでキスしたのかも聞けないまま
「魔が差しただけなのかな…」
「それは違うんじゃない?」
「なんで?」
「流花から話聞く限り、柊くんはそんな子じゃない気がする」
今まで柊と接してきて
確かに澪の言う通りそんな人じゃない
でも、分かんない…
「柊くんも柊くんで悩んでるんじゃないのかな…」
「どういうこと?」
「だって自分が死んじゃうって分かってて、好きって伝えられる人っていると思う?」
澪にそう言われてはっとした
もしも私が逆の立場だったら…
「私はね、柊くんは流花を傷つけたくないだけだと思う」
「澪…」
あのごめんが柊の優しさだったら
柊が苦しんで出した答えだったら
「でもね、私は流花のことを幸せに出来るのは柊くんしかいないって思ってる」
「私、どうしたら…」
「どうしたらいいかじゃなくて、どうしたいか、だよ」
どうしたいか…
「流花はこのままでいいの?」
「やだ…」
「柊くんが踏み出せないなら、流花が踏み出すしかないんじゃない?」
「ありがとう、澪…私、頑張るね」
「うん、頑張れ」
ありがとう、澪
本当に澪には背中押してもらってばかりだね
今度澪が辛い時は
私が支えるからね
