「お待たせ」
「ううん、私も今来たところだから」
「じゃあ行くか」
頷いて柊の隣を歩く
浴衣のこと何も言ってくれなかったな
変だったのかな…
「人多いな…」
そう呟いた柊は「はい」と手を出した
「はぐれたら大変だから」
その手に私の手を重ねると
ぎゅっと握りしめられた
それだけで浴衣のことなんかチャラになるくらい嬉しかった
柊と一緒にいろんな屋台回って
気づいたらもう少しで花火の時間だった
みんな場所取りしてて
どうしようと悩んでいたら
「とっておきの場所あるから」
と言って連れてこられたのは神社だった
「ここから見えるの?」
「うん。特等席だから。ほらね」
柊が指さした方を見ると
綺麗な花火が上がっていた
「うわぁ、綺麗…」
私は終わるまで花火に夢中になっていた
だから柊が私の方を見ていたなんて
全然気づかなかったんだ
