君と見たい世界







「はぁ、はぁ…」





保健室まで走ってきたけど


まだ柊いるかな?





「失礼します…」


保健室に入ると


私が来た時にはいなかった先生がいた






「あら、どうしたの?」


「えっと、秋月柊くんってまだいますか?」


「秋月くんならさっき帰ったけど、もしかしたらまだ近くにいるかもしれない」


「ありがとうございます!」






急いでお礼を言って保健室を出た


さっきならまだ間に合うかも


柊は電車通学だから


駅に行けば会えるかもしれない






足を捻ってることなんか忘れて


ひたすら走った





すると見慣れた背中が見えてきて


人違いだったらなんてことも考えず


気づいたら「柊!」と叫んでた






呼び止めた背中が止まって


ゆっくりと振り返る





「流花?」


そう呼ばれた声が


いつもの柊で少し安心した






「えっ、なんでいるの?ていうか足大丈夫?」


「はぁ、はぁっ…大丈夫…」





何言うんだっけ


あぁ、もうなんでもいいや





「えっと、これからいっぱい思い出作りしようね!」


「それ言いに来たの?」


「うんっ!」


「あははっ、やっぱり流花って面白いね」





いきなり来て変なこと言うから


柊に笑われてしまったけど






「うん、いっぱい思い出作ろう」


嬉しそうにそう言ってくれたから


会いに来て良かったと思った