「肝臓がん」
柊は表情を変えずにそう言った
1年も生きられないって聞いてたから
きっと重い病気ってことは想像してた
でもいざ聞くと言葉が出なかった
「ほら、若いと進行早いって言うでしょ?」
なんて笑ってる柊に「そうなんだ…」としか返せなかった
私から聞いといてろくな事言えないまま
「次の授業始まるよ」と言われ
「じゃあ」と言って保健室を出た
何やってんだろう私
柊に気使わせて
何がしたいんだろう
「流花、大丈夫?」
「うん、ありがとね」
「嘘。大丈夫って顔してない」
「澪…」
教室に戻ると
澪にすぐ心配されて
「今日の放課後話聞くから」と言ってくれた
その後の授業は全然集中出来なくて
柊は今どんな気持ちだろう
どんな顔してるだろう
頭の中は柊のことでいっぱいだった
