『あっ、そうだ!今日から隣に新しい人が来るからね!言うの忘れてたわあ〜』
実家で取れたという野菜のお裾分けに来てくれた大家さんの雨宮さんが、そう言うなり帰っていったのは今から三分前。
「………ぅえっ、」
三分遅れの返事は、もちろん誰も聞いておらず。
今日ですか?え、突然すぎませんか…?
もらった野菜をせっせと冷蔵庫に仕舞いながら、『いまは隣人さんいないの!入ってきたらすぐ知らせるわね〜!』と引っ越し当初に言っていた雨宮さんを思い出す。
わたし知りませんでしたよ?雨宮さん…。
団地でひとり暮らしをする上で隣に人が越してくるというのは、最高の環境改革だと思うのですが。
そして、野菜を仕舞い終わるなりスマホで “ 隣人 越してくる 今日 ” と検索するが、これまた思うサイトが出てこない。
隣に人が入ってきたときって、なにかするんだっけ…?……うぅーーん………。
なんせ、自分が越してきたときに左右どちらも空き室だったものだからまったく分からないのだ。
……仕方ない。は、失礼だけど。
「………困ったときの雨宮さんだ。」
開きっぱなしだった冷蔵庫を閉めて、カーディガンを羽織って、靴下とサンダルを履いて、三分前に会ったばかりの雨宮さんまで。
いざ…!