ちょっと大人だからって、ずるい。



っていうか、あれ?


…みーくん、あんまり嬉しそうじゃない?


5年ぶりの再会だというのに「遥香?」と言ったっきり、こちらを見ない。



もしかして、みーくんと呼んだことを怒っているのだろうか。



…そうだよね、もう22歳。
いい大人がみーくんはないよね。



「あ、ごめん、みーく……じゃなくて、湊都、くん…?」

「あぁ。湊都でいい。」

「あ、じゃぁ湊都…」

「ん?」

「えっと…」


会話はしているものの、こちらを見ようとせず、ひたすら窓の外を眺めている。



昔と少し違う雰囲気に、言葉が詰まった。



いつも一人でいる私に、お兄ちゃんみたいに優しくしてくれて


ずっと一緒にいてくれた、みーくん…じゃなくて、湊都。



思い出の中の湊都は、私の我儘をたくさん聞いてくれて


一緒に笑ってくれて


怒っているときはなだめてくれて


時には一緒に怒ってくれて


泣いているときは頭をなでてくれて



『大丈夫、俺がずっと傍にいるよ』



いつもそういって、ぎゅっと手をつないでくれていた。