たぶん、これは幸せなことなんだとおもう。
自分の好きな人が自分のことをずっと一途に思っていてくれたことなんて、これ以上に幸せなことなんてあるのだろうか。
なのに、なんでだろう。
こんなに苦しいのは。
こんなに胸が締め付けられるのは。
――――今叫びたいほどに、心が締め付けられている。
「來花?」
玄関でただただ、突っ立っている、私を不思議に思ったのだろう。
お母さんが、私の顔を覗き込んでくるのがわかる。
「大丈夫?」
「……うん、平気」
私はそう言ってゆっくりと、靴を脱ぎ、自分の部屋へと向かう。
この時の感情。
あの時に似ている。
そうだ。お父さんが亡くなった時だ――――。


