川が目の前を流れていく。
途中に行く手を阻む岩や、誰かが捨てたごみ、その他の障害物に屈することなくただただ水はそこを流れていく。
きっと時間というものも、同じなのだろう。
そこに実体がないだけで。
この目の前に流れる川と同じようなものなんだ。
私という障害物がいくら止めようとしたって、時間というものは無情で、止まることなどしらない。
季節はいつの間にか、秋を通り過ぎようとしていた。
「來花ちゃん」
聞き覚えのある声が私の背後からする。
私は、座ったまま、首だけ声のする方向へ向けた。
「どうしたんですか?……叔父さん」
「ははっ。やめて。叔父さんは。あれはあの場でとっさについた嘘なんだから。ホクトに似て意地悪だね」
「ごめんなさい」
「まあいいよ。そういうところ、嫌いじゃない」
そういって、ケントさんは、私の隣に座り込んだ。
「ホクトとあれからちゃんと話した?」
優しい声で、ケントさんが話しかけてきてくれていることがわかった。
私はその言葉に首を横にふった。
「ちゃんと話したほうがいいよ。あいつああやって平然ぶってるけど、多分内心は荒ぶっていると思うから」
「……あいつが悪いんですもん。そんな急に今年で会えなくなるなんて」
ホクトの正体が立花さんではなく、実は直哉だったということを知ってから3日。
実感がわかなかった。
実感するのが怖かった。
当たり前にいた人が、これからもずっとういると思っていた人が、もう私の傍からいなくなるなんて。
そんな話、信じたくなかった。
わかりたくもなかった。
そんな物分かりがいいほど、私は大人じゃない。
「ホクトから、ここに無理やりの買った理由、なんて聞いているんだっけ?」
「……まだ喘息が完全に治ってなかったから、直哉。……いや、ホクトの両親だけ先に帰って、ホクトだけ残ったって聞いてますけど」
「……そっか」
何やら意味深なその返しに、私は、ケントさんの顔をじっとみる。
「なんかまだ隠してません?」
「いや、ホクトが來花ちゃんに話したことがすべてだよ。俺が何か改めて話すことなんてないよ」
そういって、ゆっくりとその場で立ち上がったケントさん。
いつの間にかあたりが暗くなり始めていたことに今気づいた。


