また逢う日まで、さよならは言わないで。




俺はきっと、心のどこかで思ってたんだ。


時が来ればきっと俺のことだから何とかなるって。きっと俺のことだから何とかするんだろうって。



だけど、今時がそこまで来ている。


今決めなければいけない。覚悟を、今決めなければいけないんだ。



「本当は、もう少し考えさせてやりたいとこなんだが、俺たちにも準備ってもんがある。歩人。今決めろ。俺らはそれにしたがう」



カズヤがまくしたてるようにそう俺に言う。


俺はゆっくりと顔を上げ、カズヤのほうを見た。



「本当にいいんだな」


「ああ」



カズヤの瞳は俺をまっすぐ見つめて、決してそらそうとはしなかった。



「決めた」



自分でも、そうはっきりといったことに驚いた。



「どっちだ」



カズヤの目つきがさらに鋭くなったのがわかった。



「――――――。もう覚悟は決まってる」



俺の言葉を聞いて、二人は満足そうに笑った。



「そういうと思った」



さっきまで、怖い顔をしていたカズヤの顔が一気にほころぶ。



「俺は分かってたよ、お前がそっちを選ぶの」



続けて、ケントが目じりに思いっきりしわを寄せて、そう言ってきた。



「お前らには一生敵いそうにないな」



俺も、自然と笑顔になった。



「それはこっちのセリフさ」



カズヤは、軽くそう言って、ケントの肩に手を置いた。



「歩人、いや、直哉。何回も言うようだけど、この世界での残された時間はもうわかってるよな」


「ああ、わかってるさ」


「ならいい」



カズヤは、俺のその言葉聞いて安心したのか、脱いでいた上着を羽織った。


もう、帰ろうとしているのだろう。



「お前の覚悟、ちゃんと聞けて良かった。わざわざ来たかいがあった」



ケントの住んでいる場所は俺の家から遠かった気がする。


俺にこのことを告げ、覚悟を聞くためだけに、わざわざやってきてくれたのだ。



「ああ、俺も言えてよかった」



俺のその言葉に、ケントは満足したのか、俺の頭をくしゃくしゃにした。



まだまだケントの中では俺は子どもらしい。



「話変わるけど、ここに来るのはしばらく二人ともやめてくれ。あまりにもリスクが大きい。叔父さんのほうは俺一人で何とかする」



覚悟が決まった今、俺に怖い者なんて何一つなかった。



「じゃあ、また連絡する。困ったらいつでも電話してくれ。あと、今後の話をもう少し詰めて話したいから、今後はお前がこっちにこい。会場はガクの職場だ」



そのことがわかっているかのように、カズヤはあっさりとそのことを了承した。



「ああ、了解」



俺のその言葉を聞いて、カズヤが俺の部屋の扉を開けた時だった。