「見つけた」
俺はその小さくなった背中に話しかけるが、びくともしない。
「帰るぞ」
続けて俺はその小さくなった背中に声をかける。
「いやだ」
帰った言葉は、高校3年生とは思えないようなストレートなわがままだった。
俺は、ゆっくりと、來花の隣に腰かけた。こうなってしまたからには、当分來花はここから動かない事を知っていたから。
「何があった?」
本当は、カズヤから聞いて何もかも知っていたが、俺はあえてそう來花に問いかけた。
その問いかけがスイッチだったのか、途端に來花の目が涙で潤んできたいるのがわかった。
「少しだけ、胸かして」
そういって、俺の返事も待たずに、來花は、俺のほうに倒れこんできて、胸に顔をうずめた。
俺は、抱きしめたい気持ちをこらえながら、ただただその場でじっとしていた。
顔をあげて、周りを見渡してみる。
すると、さっきまでまばらだった人の数は急に増えだし、みんな河原へ座り込みだした。
そういえば、今日は川下の方で花火が揚がる日だったかもしれない。
「何があったかわからないけど、顔上げろよ」
「……うぇ?」
來花の変な声に、俺は思わず吹き出してしまう。
俺が笑っていることに気づいたのか、來花は少し恥ずかしそうに、俺の胸から離れた。
「不細工だな……」
泣いたせいで真っ赤になった顔の來花。
言葉ではそう言ったけど、そんなはずがない。
涙でどんなに濡れても、愛しい顔に変わりはない。
その瞬間、夜空に大きな花火が打ちあがり、その音が心臓に響き渡る。
きっと、俺にとって最後の花火になるのだろう。
そう思うと、この景色一つ一つが愛しくそして、刹那だった。
隣には、愛しい君がいて、目の前には刹那に美しい景色が繰り広げられる。
こんな贅沢はきっともう一生味わえないのだろう。
來花は切なげに花火を見つめていた。そして、また一筋の涙が、來花の頬を伝った。
俺が、お前を好きになったばかりに、來花を傷つけてばかりだ。
泣かせてばかりだ。
一番幸せになってほしいのに。
一番笑ってほしいのに。


