また逢う日まで、さよならは言わないで。




一見、花蓮さんは雰囲気から適当そうに見えるが、そんなことはない。


一度約束したことは死んでもやり切るタイプの人間だ。


だから、花蓮さんの、任せてを聞けたということは、俺にとっては嬉しかった。



俺は、適当に花蓮さんに出したコーヒーを片付け、台所にあったカップ麺にお湯を入れ、自分の部屋へと上がった。



そして、いつもの定位置である、デスクの前に座り、その大きなデスクトップパソコンを起動させた。



一見普通のデスクトップに見えるが、実はそうじゃない。


俺のもとの世界から持ってきた、この世界には存在しない超最新式のパソコン。


処理能力が桁違いなことは勿論、このパソコンにはそもそもキーボードや、マウスというものが存在しない。


すべての操作を、目の前の俺の手先の動きでコントロールし、文字入力はすべで音声入力だ。



そしてなによりこのパソコンがこの世界のパソコンと違うのは、俺の世界とこの世界をつないでいる唯一のパソコンだってこと。


つまり、未来からのメッセージがここに送られてくるということである。



この世界には確実にパラレルワールドが存在している。


俺の今いるこの世界と、俺の生まれた世界は決して交わることのない世界であるということだ。


だから、この世界の未来に俺がいるとは限らない。



時間も平行線上で一定に進んでいるため、俺がこの世界で過ごした時間だけ、俺が戻ったときには向こうの世界も時が進んでいるということになる。
 


俺は、そのパソコンの画面を開き、メールを開いた。


あるメールを俺はここ最近ずっと待っている。俺はメールのボックスを更新すると、1件のメールが新たに送られてきていた。



俺は迷わずそのメールを開き、中身を確認した。



『3日後、そっちにケントとカズヤがいく』



父さんからのメールだった。


いよいよあの二人がこの世界に来る。2人とは仲は良かったが、こうなると話は別になってくる。



まだまだ俺は子どもで、1人じゃ何もできなくて、それがまた悔しくて、自分が情けなくなる。


早く大人になりたいと思うのと同時に、大人になってしまえば、今のようには融通が利かず、周りの大人身は甘えられず、決められた未来がまた俺を苦しめるのは想像できる。



俺はそのメールに返信することなく、そのままパソコンをおとした。


そして、伸びきってしまったカップラーメンを、俺は勢い良くすすり上げた。