それから一週間後、父さんと母さんは、表では海外赴任という理由でこの家を出ることになった。
案の定、お世話になった浜辺一家は、俺の両親がタクシーに乗って見えなくなるまで涙を流しながら見送ってくれた。
俺が笑顔で見送るのに対し、來花はもう号泣だった。
母さんのお菓子が食べられなくなることが悲しかったのか、本当のところはよくわからない。
それからというもの、中学に上がった俺たちは、部活もしていなかったため、小学校の名残なのか、一緒に帰り、そのまま來花の家で來花のお母さんが作った料理を食べ、数時間くつろいでから、自分の家に帰った。
そんな俺たちを冷やかす人たちが数名いたが、それは一時的なものであった。
時間が経てば、何も反応しない俺たちにみんなあきてしまったようで、次第に何も言われなくなった。
それくらいに二人でいることが、以前にも増して当たり前になってしまっていた。
だから自分でもまずいと思っていた。
時がたって、帰らなければいけないと分かっていたのなら、次第に自分の気持ちは冷めていくだろうってそう思った。
來花にいい彼氏ができて、自分に見向きもしなくなれば自然とあきらめもつくだろう。
そう思っていた。そんな考えは甘かった。
來花に彼氏ができた時は、正直焦り、そして戸惑った。
しかし、そんな表情は顔に出さず、話を黙って聞いていれば、告白されたから付き合ったという。
しかも、告白した男のほうも、仲のいい友達がみんな彼女を一気に作ったようで、自分だけいないのが悲しくなって、仲の良くてすこしだけ気になっていた來花に告白したのだという。
來花は、初めての彼氏で、そんな告白した口実とかはどうでもよかったらしく、浮かれていた。
しかしそんなの俺が許さなかった。
心の底から來花が好きで且、來花が心の底から好きな人と幸せになってくれること以外、俺は許さなかった。
もちろん、そんなこと、本人に言うはずがなく、俺は姑息にも、來花の彼氏のほうに攻撃を仕掛けた。
男というものは単純だ。好みの女が寄ってくれば即座に乗り換える。単細胞であればあるほど、その効果はてきめんする。
俺は色仕掛けを仕掛ける計画を立てはじめた。
ハニートラップというやつ。


