また逢う日まで、さよならは言わないで。





―――――俺の生まれた場所は、地下の深い場所だった。



地下だといっても、空がないわけじゃない。


人工的に作られた空が上には広がっていた。


山も、川も、海も。すべて人工的に長い時間をかけて作られたと聞いている。


やはり、地下に越した来た人たちにとって、地上にあった景色はなくてはならなかった景色であり、忠実に再現したかったのだろう。


もし、過去の人がこの世界に来たとしたら、ここが地球のはるか地下の世界だとは、きっと思わない。



なぜ、こんな地下の世界に住んでいるのかというと、俺の生まれた世界は、地上では、とても暮らすことができないほどの大気汚染と、異常気象が起こっていたから。



そのためか、俺は生まれながらに喘息もちで、呼吸苦になることが幼いころから多かった。


こういう子が生まれることは珍しくなかった。


よく一緒に遊んでいた、のちに一家の執事になるカズヤとケントはそんな俺にいつも気を使っていた。


俺よりも、5つも年が上だってこともあったんだと思う。



そんなとき、うちの父さんは俺に言った。


たしか小学6年になった時だったと思う。



「過去パスポートを入手したから、ホクトの療養もかねて、一緒に行こう」



父さんのその意見に母さんは大賛成だった。


俺は、訳も分からず、そんな2人に従うしかなかった。



後から知った話だが、過去パスポートというのは、その名の通り、過去に行けるパスポートである。


国から国へ行くように、簡単に取れるようなパスポートでは決してなく、非常に入手困難なパスポートとなっている。



一部の上流層の人たちにしか申請権はなく、申請権があったとしても、過去に行かなければいけない理由が明確且、適正と認められなければ入手することができない。



その貴重すぎる存在から、上流層以外の人は、過去パスポートの存在を疑っている人も、多々存在する。



今回の申請では、俺のひどすぎる喘息が申請の通過につながったのだろう。



過去パスポートを入手したと、父さんから報告を受けて二週間がたった。


その間に、俺たち一家は4年間この世界を留守にする準備を始めていた。



父さんは、会社を父さんがいなくてもうまくいくように、取締役代理に仕事を引き継いだ。



母さんは、自分がいなくてもこの大きな家がきれいに保てるように、また、自分たちがいない間、仕事がなくなった使用人の人たちの職業のあっせんに尽力した。