目を開けたら、そこは私の部屋ではなかった。
カーテンの隙間から差し込む西日で目を覚まし、私はベッドから起き上がる。
見覚えのある部屋に、私は布団を強く握りしめた。
――――夢じゃなかった。
真っ白な家具で統一された中に、ひときわ存在感の大きいデスクトップパソコン。
生活感のない部屋。
ここは直哉の部屋だ。
きっと、私が倒れた時、そのままこの部屋に連れてきてのだろう。
心拍数が上がる。
呼吸があがる。
酸素が足りない――――。
「來花っ!」
そこへ、直哉がやってきて、近くの紙袋を私の口に当てた。
「ゆっくりでいい、ちゃんと呼吸しろ」
その優しい声になんだか安心して、次第に、呼吸は安定してくる。
私が落ち着いたことがわかると、直哉はゆっくり紙袋を私の口元から離し、私の隣に腰かけた。
「……驚かせたよな」
直哉は私の隣で優しくそう言った。
私は自然と、直哉の服の裾をしっかりとつかんでいた。
こうでもしてないと、直哉がどこかに行ってしまいそうで、怖かった。
「俺の話、聞いてくれるか?」
直哉は隣にいる私を見てそう言った。
いつかは聞かなきゃいけない話なのだろう。
「……いいよ」
私は、そう直哉に言った。
――――もう、直哉に会えなくなるかもしれない。
この時もう私はなんとなくわかっていた。


