根岸くんは歌手の伊勢宗介のフアンで、私よりファン歴が長く、私の知らないことを知っていて、初対面から仲良くなった。

だから、ファンクラブ共はそれを知って、すぐさま私に話しかけてきたが、逆に冷めた。
以来、根岸くんにしか伊勢宗介の話はしてない。

最初は、根岸くんは伊勢宗介のフアンだということを知って仲良くはなったが、美意識が高いことは知らなかった。

学年で唯一美意識高い男子と人気らしい。
それすら、私は知らなかった。

前から人気者には興味がないということは自分自身で思っていたが、ここまでだとは。

「根岸くん、ありがとう」

私は笑顔で言うと、私の隣にいた咲が言う。

「根岸も頑張るね。ねぇ?」

咲は根岸くんの腕をぐいぐいと押して、ニヤニヤした顔で根岸くんを見ていた。

「いや、別に普通だから」

根岸くんはそっぽ向いて、ブツブツと咲に言う。

可愛い顔をしているから、より違う表情だと可愛さが増す。

男子に可愛いとか言ったら、失礼かもしれないが。

「照れちゃって」

咲は口に手を添えて、プップっと笑っていた。

「笑うな!」

そんな咲見て、根岸くんは咲に言い返していた。

根岸くんは顔に似合わず、口が悪い。

怒るとなおさら。
だから、男女問わず人気はあるが、
恋愛感情にまで抱かない人が多い。

たが、一部のドS好きフアンからは人気があるらしい。たまによくドSフアンは根岸くんの教室まで来て、ただ話しかけてディすられるだけで満足して帰るらしい。

根岸くんと咲は、同じ中学校。
同中だったのに、中学時代は一回も話したことがないらしい。

同中でも話す人は少ないが、根岸くんと咲はなにかがあったのではないかと推測している。