「変わらないよ。あの時から」

西原凌は私の目を真っ直ぐに見つめて、少し笑みを浮かべてから私に言う。

「……もう少しでお昼休み終わるから、さっきいくね」

私は一瞬黙り込んでから、西原凌に発する。

キャハハと生徒の声がするが、さっき程より大きい声はしなくなった。

「待って。名前だけでもいいから呼んで」

西原凌は必死な顔で、目の前にいる私を引き止めた。

そこまでして、私に西原凌の名前を呼んでほしいのか。

なぜそこまで。初対面じゃないってことはわかったが、二度目に会ったばかりでそこまでするのか。

「え?」

私は驚いた表情で西原凌を見る。
それでも、西原凌は私に惹かれてることは鈍感な私でも分かった。

だが、私は西原凌になんの感情も抱かない。

「そんな驚かなくても。俺だけ千花のこと呼ぶのはなと」

私は心の中で自分を問いかけた。
そして、西原凌の言うことは、確かに、正論で何もいい返せない。

だが、西原凌の策略に応じるのもなんか嫌だが、今のところは西原凌のペースに応じよう。

次はあんたのペースに応じないから。

「……わかった。呼ぶよ」

私は分かった振りをして、西原凌に返事をする。