元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

あの時の!私は思い出した。

「思い出した。あの時の人」

私は顔を上げて、西原凌の目を合わせる。

「思い出した?だって、千花忘れてるから焦ったよ」

西原凌は窓の外を眺めてから、私を見ていつもの笑顔で私に微笑む。

「なんで私だって」

私は疑問に思っていた。
だって、ただの空似かもしれないのに。
空き教室の外から生徒たちの声が聞こえてきた。

もうすぐでお昼休みが終わるので、廊下ではしゃぐ声が耳の中の奥まで届く。

「これ」

西原凌は私の頭にポンと手を置き、私の顔を覗き込む。

「え?」

私はドライな目を丸くした。

「髪型変わってないでしょ。あと、友達に見せる笑顔はあの時と同じだから」

西原凌は、なんの躊躇なく私に言う。
なんでたった一回しか会ってない私をそんな風に想ってくれるのか分からない。

「……いや、変わったでしょ。去年より」

私は目を逸らして、西原凌に聞く。