元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している


「あの時の」

私は顎をつけて考え込んでから声を発して、西原凌に言う。

「思い出した?」

西原凌は腕を組んで、クスッと微笑んでいた。

「う、うん。少し。あの時、確か金髪じゃなかったよね」

私はコクンと西原凌に頷く。

「あー、あの時はまだ黒髪だったなあ。学校の道順が分からなかったから。予行練習で行ったんだよ。で、結果、迷って。千花に会った」

西原凌は目を上にあげて、あの頃を思い出すように私に言う。

私は窓の外を眺めると、生徒達は、もう少しで昼休みが終わるので、自分の教室に戻る準備をし始めていた。

キャハハと笑いながら友達と戻っていたり、一人無言で教室に向かう人もいた。

「…そうなんだ」

そんな前から西原凌と会ってたんだ。
知らなかった。あの日、なぜか私は人に話しかけられることが多かったし、話しかけたのはたった一人。それが西原凌だ。