元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

「あ、私は……これかな」

私はおかずを指差して、二人に言う。
西原凌は、私を見つめていた。

「ああ、これ美味しいって評判だよね」

咲はにこりと笑い、話を続けてくれた。

「だね!美味しいんだ。じゃあ、俺ひと口頂こうかな」

そして、私に同意するかのように西原凌は相槌を打ち、私に言う。

楽しそうにしている西原凌を食堂にいる生徒たちは、驚いた様子で見てきた。

「え?いや無理だから」

私は無表情で西原凌の要求にキッパリ断った。それは、私のおかずを手に取ろうとしていたからだ。

その様子に食堂にいる生徒たちは、なんで断るのと言っていたり、はあ?なんで?と
前とは逆のことを言っていた。

金髪ヤンキーだから、怖いとか言ってなかったっけ?

印象が変わったから、周りの反応に私は戸惑いを感じていた。

そんな怖くなくて、いい人だって分かってこの変わり様。

人間って怖い。

「ダメ?」

そんな周りの声なんて気にせず、西原凌は目をウルウルさせながら首を傾げて、私に上目遣いで言う。

なんだ、これは。
ヤンキーなのに、怖いというカケラすら感じない。なんなんだ、一体。

むしろ、話しやすい。