元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

「…なら、いいけど」

咲はわかっている。私が無理にしていること。
でも、私が言うなら仕方ないと思っているだろう。

むしろ、私は行きたくないけど、約束した以上行くしかない。

心の中でため息をついた。
ため息しか出ない。

私たちは財布を片手に持ち、教室から出た。

そして、食堂に向かい、西原凌はもうさっきに行って私たちが発見しやすいように、ドンと大黒柱の近くに座っていた。

大黒柱の近くに座って、分かりやすいところを選んでくれたのはいいが。

目立ってること、本人自覚してるのかな。

食堂にいた人達は、西原凌を見て、なにあれ、なにしてんの。誰か待ってるんじゃない?と口々で言ってくる。

そんなこと言われたら、ますます座りづらくなる。

堂々と座っていられると、逆に座っていいものかと思う。

私たちは、西原凌を観察して、立ちつくしていた。

すると、西原凌は私たちに気づき、話しかけてきた。

「咲さん!千花!」

私たちを呼んで、両手で手を振っていた。
顔を合わせて、私たちは目を見つめた。

なんなんだ、こいつと。
ヤンキーというより、犬みたい
と咲は私と同じく思っただろう。

咲と私は目を合わせて、クスクスと笑った。

笑ってはいるが、内心どうしたらいいか分からないでいた。

西原凌に呼ばれて、恐る恐る座っている場所に咲と私は座った。

西原凌と私は向き合うように、咲は私の隣にいた。だが、食堂は人がたくさんいる。

西原凌がいるだけで、同い年の生徒の他に上級生も見てきた。

むしろ、学校全体が西原凌に目を向けられていた。

気まずい雰囲気の中、咲は口を発する。