「…それだけ聞けて嬉しいよ。だから、千花は俺がどう思っているかは分かったら、教えて」
俺はいつもより柔らかい口調で千花に言う。
今は千花を安心させることが重要だ。
だから、俺の気持ちを言うだけではなく、千花をちゃんと見ないと。
そう千花に言って、電話を切った。
俺は空を見上げて、千花を想った。
一方で、千花は
家に帰ってきて、一人ため息をついていた。
外で着ていた服を脱ぎ、家用のジャージに着替えて、自分の部屋でゴロゴロしていた。
すると、いきなりプルプルと携帯が震えた。
なんだろうと、カバンの中を探ると、西原からだった。
今、出ても何も言えない。
どうしたら…
だけど、西原にはちゃんと自分の気持ちを言わないと。
さっきまでは自分の気持ちも不安定で、何も言えなかった。
今も完全安定している訳ではない。
けど、西原は何も悪いことはしていない。
ちゃんと、自分の気持ちを言える範囲で言うんだ。
私は西原からの電話に出た。
西原は心配したように私の名前を呼んでいた。
西原の声を聞いて、私は少し冷めた声で言い放ったが、優しく柔らかな言葉に私は素直に口にしていた。
「西原。私は…西原のこと好きじゃない訳ではない」
私の精一杯の言葉だった。
これ以上の以下の言葉も出てこなかった。
西原は私の言葉に優しく受け止めてくれた。
西原は私の言葉を聞いたら、すぐ電話を切った。これ以上話すと、余計なこと言いそうだったし。
だけど、もう少し声聞きたかったなあ。
私はベッドに横になりながら、目を閉じて今日あった西原の言動を頭の中で思い出した。
一人でクスッと笑いながら、私はいつの間にか寝ていた。
相手のことを好きか基準はまだ分からないけど、これだけは言える。
西原は私にとって、光と闇の両極端だ。