「なんでわかんない?俺がなにしたっていうの?」
西原は息切れをしながら、私に話しかける。
「別に何もしてない!わかんないの。私が西原を好きかどうかだよ!」
私は思ったことを西原に口にする。
「…千花。そんなこと考えてくれたのか」
西原は何かを言っているのか下を向いて、独り言を呟いていた。
私は黙って、走りを止めない。
「待ってー!」
西原は大声を浴びて、私を引き止める。
すると、大通りに出て、信号が赤になった。
私は止まった。
信号には逆らえない。
「はあ、はあ。千花、捕まえた」
西原は私の右手を掴み、息を切らしてきたのか、はあはあと言って、前屈みになり私を見てきた。
「…なんで、追ってくるの?」
私は涙を少しだけ浮かべて、言った。
「千花が好きだからに決まってる。まだ千花が分からないなら、それでいいから」
西原は真っ直ぐな目で私を見つめてきた。
「……それでいいの?」
私は上目遣いで西原に聞いた。
「…いいんだよ。普通に話して楽しく過ごそう」
西原は首を傾げて、私に言う。
「……そうだけど。西原に悪いような」
私は下を向いて、西原に答える。
「大丈夫。ねぇ?行こう」
西原は私の手を握りしめて、またどこかに連れていこうとした。
私は黙っていた。
それから、私たちはどこにも行かず、駅に戻った。
「…大丈夫?」
西原は私が下を向いているのを気遣った。
「…大丈夫。今日は帰るよ」
私は普通の笑顔で西原に答える。
「千花。俺は千花が好きだよ。それは変わりない。だから、それだけ知ってほしい」
西原は真剣な表情で私に言ってきた。
私はどうしたらいいか分からなかったから、西原に返事をした。
「…うん、ありがとう」
私はそっけない返事をして、西原は私のことをじっーと見ていた。
「…千花!俺は好きだから!それだけ、覚えて」
西原は大きい声で言って、私に叫んだ。


