「う、うん」
私は返事をして、西原のあとをついた。
「…ねぇ、千花はどういうタイプが好きなの?」
西原はやっと私の方を向いて、真剣な顔で聞いてきた。
な、なんだ。
「なに、いきなり」
私は少し照れた表情をしている西原に聞く。
「聞きたかったから、ただそれだけ」
西原は少しだけ私を見てから、声を発した。
「…まあ、私が好きだと思った人がタイプだね」
私は両腕を組んで、西原に言う。
「え!千花、好きな人いたことある?」
西原は驚いたように私に聞いてきた。
「あるよ。まあ、恋は叶わなかったけど」
私は下を向いて、好きだった人を思い出した。
好きだった人は、私の姉の婚約者の人。
紹介された時はびっくりしたけど、好きな人のいい所知っているから、好きでも笑って祝福した。
ほんと好きだった。
好きだったなあ。
私は昔のことを思い出していた。
「千花。大丈夫?立ち止まって」
西原はいつの間にか前にいた。
私は西原より3歩ほど後ろにいた。
「…いや、なんでもない」
私はポツリと言ってから、呆然とした。
西原は私のとこに駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫?じゃないか」
西原は私の顔を見て、心配そうに聞いてきた。
「大丈夫。行こう」
私はまっすぐ見つめて、西原に言う。
大丈夫、あの時のことは昔話だから。


