「大丈夫じゃないでしょ。広瀬」
根岸くんは真剣な目で私を見る。
「…いや…」
私は目を逸らした。
「広瀬。外に出よう」
根岸くんは私に言っていた。
「…いや」
私は目を逸らしたまま、返事をした。
未だ、答えがでないから。
「広瀬、行くよ」
私の右手を掴んで、私を立たせた。
「え?」
私は目を丸くした。
根岸くんの言動に驚いたのだ。
「広瀬。走ったら、何か見えるかもしれないから」
走りながら根岸くんは私に話しかけていた。
「…いや、だからって」
私は走りながら、根岸くんに言う。
「いいから。走るよ」
根岸くんは私の話を聞かずに、教室の外に出て、玄関で靴を履いて、学校の近くの公園で足は止まった。
「…え?いや、根岸くん」
根岸くんが私の右手を掴んで、離さなかった。
「…僕は、広瀬が大事だよ。だから、西原のことで悩むなら、僕にしてよ」
根岸くんは私の両肩を掴んで、真っ直ぐに私を見て言った。
周りには近くの公園で小学生達が遊んでいたのだろう。じゃあねー、また明日と言う声が響き渡っていた。
私はその声を聞きながら、根岸くんの言葉に耳を傾ける。
「…根岸くん。私は…」
私は目を逸らして、根岸くんと目を合わせられなかった。
「…わかってるよ。僕じゃダメなのは。だけど、僕は広瀬が好きなんだ!」
私の両肩を力強く握りしめて、下を向いて私のために懸命に言ってくれた。
「私は…そんな根岸くんが好きだよ」
私は根岸くんが好き。だけど、違う。
恋愛的な意味ではない。


