極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です




「サイズを測った次の日、さっそく美輝の店に行った」


 ……?

 美輝さんの店?


「美輝はジュエリーショップをやっているんだ」


 そうだったんだ。


「夕鶴の右手薬指のサイズを測ったものを美輝に渡して注文した。
 デザインは美輝に相談しながら。
 ……だけど、あのときは焦った」


 ……?

 あのとき?


「夕鶴が俺の部屋にいるときに美輝からの着信があって。
 指輪のことは夕鶴に内緒にしていたから」


 あ……。

 あのとき……。

 隼理くんが買い物に行っているときに。
 ダイニングテーブルに置いてあった隼理くんのスマホに着信があって。
 そのとき私が隼理くんのスマホの画面に表示されていた美輝さんの名前を見てしまった、あのとき……。

 そのあと隼理くんが帰ってきて。
 スマホの画面を見て動揺していた。

 あれは美輝さんと指輪の相談をしていたから。

 そのことが私に知られてしまったら。
 せっかくのサプライズが台無しになってしまう。

 だから、あのとき隼理くんは。
 こそこそと隠れるように寝室に移って『また夜に』と美輝さんに連絡していたんだ。

 そんな隼理くんの態度を見て。
 良くない方へ考えてしまった。

 全ては隼理くんに確認することを恐れて確認することができなかった結果。


 悩んだり落ち込んだり。
 心が締め付けられる思いもたくさんした。
 けれど。
 今、それらを全て中和することができた。

 それは。
 美輝さんに関する誤解が解けたから。


 今まで張り詰めていたからか。
 その瞬間、どっと力が抜けて少しだけ疲労を感じた。

 だけど、今までの苦しみに比べたら。
 ううん、比べるまでもなく。
 今の疲労は心地良さすら感じていた。