きみのへたっぴな溺愛

ポツンと置いてあるそれを手に取れば、“山田夏生”の4文字が目に入る。


なんていうタイミング。

ナイス親友だ。と、相変わらずハチャメチャな脳内のまま「もしもーし」と電話に出た。



『あ、遥斗?どうー具合は?』

「元気。ってか、風邪引いてないの知ってるだろ?」

『アハハッ、まぁねー』


今朝、夏生から〈サボり?〉ってメッセージが来た時は流石に驚いた。

ヘラヘラしているように見えて鋭い。
山田夏生…恐ろしい子。



『で、それより衣織ちゃん来てくれた?』

「えっ…なんでそれを…」



まさかそこまでお見通しなのか?



『オレがお見舞い行けばー?って言ったし』

「あー、そういうこと…」

『ま、言わなくても衣織ちゃんは行っただろうけど』

「?どういうこと?」

『遥斗が傘貸したんだろ?申し訳なく思ってたよ』


…なるほど。

俺が勝手に傘を貸して、勝手に雨に濡れただけだから、星野さんは気にしなくていいのに。

申し訳なさそうな星野さんが容易に想像できる。