…いけない。こうしているうちにも、遥斗くんは冷たい雨の中にいるのだ。

追いかけないと。困惑しながらも、折り畳み傘をバッと開いて走り出す。

バシャバシャと足に水が跳ねるけど、気にしない。

遥斗くん…っ。

走っても走っても、彼の姿が見えることはなく。

…ついに、マンションに着いてしまった。

どうか、あったかくして風邪を引くことがありませんように。

隣の家に精一杯の念を送って、玄関の扉をパタンと閉めた。