「ごめんね、ほんとに…」

「ううん。ちょっとびっくりしたけど。上の本は俺と田中先生で取るから。ね、せんせー」

「おー。望月も手伝ってくれてたんだな。サンキュー」


ズカズカと田中先生が中に入ってくる。


「ありがとう」ともう一度遥斗くんにお礼を言って、落ちている本を拾った。

作業の再開。


「で、なに?本当のハプニング?」

「ハプニングって言うか、よろけた星野さんを支えただけで…」

「まじ?それは紳士だな。先生、イケナイものを見ちゃったかと思って焦ったぜ」

「田中先生って、精神年齢俺たちと一緒ですよね」

「まぁねー」



アハハと田中先生の笑う声が図書室いっぱいに響く。

会話をしながら、手を動かしていく…けれど。

遥斗くんに触れてから、頬も首も、全身があつい。

正直なところ、本の整理どころではなかった。