「なに、お取り込み中?ハプニング発生中?」


意地悪そうに口角を上げる田中先生。


「た、田中せんせー…ハプニングです…」


そう返した遥斗くんが「よいしょ」と立ち上がって、私に腕を伸ばす。


「星野さん…立てる?」

「あ、うん…」


「ありがとう」と有り難く手を重ねる。


「あっ…」

「ん?」

「これ…」


遥斗くんの腕を見たら、捲られたワイシャツ部分に目がいく。

そこの一箇所がうっすらとピンクに染まっている。


もしかして…私のグロス…?

こんなことってある…?

知らぬ間に触れてしまったのだろうけど、羞恥心が芽生える。


「あー、大丈夫。気にしないで」


遥斗くんも同じことを思ったのか、笑ってくれる。