「悪いけど、頼むな。職員会議が終わったら来るから」

「わかりました」


放課後。田中先生に頷いて、ぐるりと図書室を見渡す。

図書室に足を踏み入れたのは今日が初めてだ。

思っていたより広くて綺麗。

本の匂いが鼻をかすめる。

ひとつの本棚を目指してゆっくり歩く。

田中先生は図書室の掃除と言っていたけど、実際には本の整理がメインで。ズラリと並ぶ本を段ボールに仕舞えば良いらしい。

ひとまず適当に目についたのを取る。
そして、それを段ボールへと運ぶ。

黙々とこなすしかないなあ。とやっていたら、タッタッタッて軽快な足音が聞こえてくる。

誰か来たのかな?

そう思った次の瞬間には、ガラガラって扉が勢いよく開いた。


「えっ…」

「あ、いた、星野さん」

「遥斗くん…?」


顔を覗かせた遥斗くんがそのまま中に入ってくる。


「星野さんが図書室の掃除してるって聞いて。来ちゃった」

「え…」


ニコッて笑う彼と、ポカンとする私。

来ちゃった…って。