「どうしたの、衣織」

「大丈夫?」


心配そうに私を見る未緒とまりやに「大丈夫」と返せば笑われてしまった。

お弁当を閉まって、ポーチを取り出す。


「あ、それ。早速買ったんだ」


私の手にあるリップグロスを未緒は指差す。

この前買ったコーラルピンクの色違い。


「うん。学校はこっちにしようと思って」


未緒も使っているという薄ピンクのこれなら、そこまで目立たないから、注意される必要はないだろう。

ほんのりと染めるようにそれを塗ったら、未緒とまりやに真っ直ぐ見つめられる。


「へ、へんかな…?」

「「いや、可愛いなあと思って…」」


ふたりとも真顔で口を揃えて言うから、恥ずかしくなって俯いた。