今はもう柔らかく微笑む遥斗くん。


「星野さん、もう帰る?」

「うん」

「…じゃあ、一緒に帰ろう」

「いいの?」


嬉しい。その気持ちを隠さずに、思わず聞いてしまった。

頷いた遥斗くんに「ありがとう」と言えば、どうしてか「こっちこそ」と返ってくる。

優しいなあ。

にやけてしまうのを抑えるためにキュッと唇を噛む。


「あ、」

「ん?」


教室を出ようとした遥斗くんが立ち止まる。



「星野さん…怒られた、んだよね?」

「う、うん…」

「それってスカート…のこと?」

「そうだよ。折ってたの…」


遥斗くんはまじまじと私を見るから、何かヘン……?と不安になる。

今は1回しかスカート折ってないし…と頭の中で確認していたら。


「俺はそんくらいの長さが好きかな」


と。呟かれた声に顔を上げる。


「え…?本当…?」

「うん。まあ、あくまで俺の好みってだけだけど」


ニヤッといたずらっぽく笑われる。


「じゃあ、スカート折らない!」


気付けばそう言っていた。