えっ…?

困惑しながら見上げると、「星野さん」って普段よりも冷たい目線と声が落とされた。


「スカート折ってるでしょ?直しなさい。すぐに、ここで」


キリッと眉を寄せる遥斗くんと見つめ合う。

えっと…これは……。

数秒間の静寂を破ったのは私の方。

ふっと吹き出してしまった。



「それ…岡野先生の真似…?」

「…うん。こんな感じでしょ?」



いつもの優しい遥斗くんに戻って、ますます笑みが溢れる。



「遥斗くんモノマネ上手だね」

「俺、結構さ岡野先生が怒ってるところに遭遇するんだよね。自分が怒られてるわけじゃないのに、ヒヤヒヤしたわ」

「やっぱり?私も怖かった…今の、すごい似てた」


ドキッじゃなくて、ビクッとした。

常ににこやかな遥斗くんからは想像できない、温度のない表情。

あれはあれで、素敵だけれど…。とは絶対に言えない。

レアな顔にときめいたのは私だけの秘密だ。